図鑑JOB ATLAS

創薬・バイオの職種図鑑 — まず地図で、自分の座席を見つける

創薬・バイオのキャリアは、化合物を「さぐる」「つくる」「とどける」の流れで整理すると見通せる。専門職ごとに評価される経験は驚くほど違う。

対象は創薬研究・臨床開発・薬事・バイオインフォマティクスなど、製薬メーカー・バイオベンチャー・CRO/CDMOで求人が発生する主要職種。年収は当社取扱求人の実勢と厚労省jobtagの職業情報を独自補正した転職想定レンジ(経験・地域で変動)。

10ROLES

主要10職種の図鑑

創薬化学(メディシナルケミスト)のキャラクターイラスト

MEDICINAL CHEMIST創薬化学(メディシナルケミスト)

480–950万円 目安

候補化合物を設計し、合成し、薬になり得るかを分子レベルで判断する役。成果は論文ではなく、開発ステージに進んだ化合物の数で測られる。日常は合成実験と構造活性相関の議論、失敗した化合物の解剖の繰り返しだ。

入り方
新卒はマスター・博士の有機化学専攻が主戦場。中途は製薬・CROでの合成経験と、担当した化合物が臨床入りしたかで評価される。
市場感
面接で聞かれるのは「あなたの合成した化合物は開発品になったか」。学会発表の数より、実際にラインを通った実績が重い。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • ターゲットタンパク質の構造情報をもとに候補化合物を設計する
  • 有機合成でリード化合物を実際に合成し、精製・同定する
  • 薬理・薬物動態データを見ながら構造活性相関(SAR)を議論する
  • 週次の化合物レビュー会議で次の合成ラウンドを決める

面接で評価される経験

  • 開発ステージ(前臨床〜臨床)まで進んだ化合物を担当した経験
  • 特定のモダリティ(低分子・中分子・核酸医薬等)での専門性

向いている人

地道な合成の繰り返しと、分子ひとつの成否に一喜一憂しない胆力がある人。

次の一歩 非臨床安全性へCMC/製剤研究へ研究マネージャーへ
薬理研究のキャラクターイラスト

PHARMACOLOGY RESEARCHER薬理研究

480–900万円 目安

化合物が生体でどう効くかを、細胞・動物モデルで検証する役。効いたか効かなかったかを最初に知る立場で、開発中止の判断もここから始まることが多い。日常は動物実験の計画・実施とデータの統計解析だ。

入り方
薬理学・生命科学系の修士・博士が中心。動物実験の実施経験(in vivo)があるかどうかで即戦力度が変わる。
市場感
面接で詰まりやすいのはin vivoの実施経験の有無。in vitroだけの経験者は、動物実験倫理と手技を一から学ぶ前提で評価される。
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仕事の中身

  • 疾患モデル動物を用いた薬効評価試験を計画・実施する
  • in vitroアッセイで作用機序を検証する
  • データを統計解析し、開発継続の可否判断に使う資料を作る
  • 獣医・動物実験委員会と倫理審査のやり取りを行う

面接で評価される経験

  • 動物実験の実施経験(マウス・ラット等の取り扱い含む)
  • 疾患領域(がん・免疫・中枢神経等)での専門知見

向いている人

仮説を検証して外れることに慣れていて、次の仮説にすぐ切り替えられる人。

次の一歩 非臨床安全性へCRO/CDMO事業開発へ研究マネージャーへ
非臨床安全性(毒性・薬物動態)のキャラクターイラスト

NONCLINICAL SAFETY SCIENTIST非臨床安全性(毒性・薬物動態)

500–950万円 目安

化合物が人に投与される前に、どこまでの量なら安全かを見極める役。開発を止める決断も進める決断も、最後はこのデータが握る。日常は毒性試験の設計とCROへの委託管理、規制当局向け資料の作成だ。

入り方
薬学・獣医学・毒性学系出身が多く、GLP試験の知識が入口の壁。CROでの受託経験からメーカー側に転じるルートも実際に多い。
市場感
面接で問われるのはGLP試験の設計・レビュー経験があるか。試験を「受けた」側か「設計・判断した」側かで評価が分かれる。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • 毒性試験・薬物動態試験のプロトコルを設計する
  • CRO・CDMOに委託した試験の進捗と品質を管理する
  • 試験結果から無毒性量(NOAEL)を判定し開発可否に反映する
  • 規制当局向けの非臨床パートの申請資料を作成する

面接で評価される経験

  • GLP試験の設計・レビュー経験
  • 毒性学・薬物動態の専門資格や学位

向いている人

「安全側に倒す」判断を、データと責任を持って下せる人。

次の一歩 薬事へCRO/CDMO事業開発へ研究マネージャーへ
CMC/製剤研究のキャラクターイラスト

CMC / FORMULATION SCIENTISTCMC/製剤研究

480–900万円 目安

化合物を「作れる薬」に変える役。実験室で合成できても、工場で量産できて品質が安定しなければ薬にならない。日常は製剤処方の検討とスケールアップ試験、品質規格の設定だ。

入り方
薬学・化学工学系出身が中心。製剤処方の設計経験と、GMP環境での実務経験が転職市場での評価軸になる。
市場感
面接で見られるのはラボスケールから量産スケールへの移行を経験したか。処方設計だけでなく、スケールアップの壁を越えた話ができるかが分かれ目。
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仕事の中身

  • 原薬の物性を評価し、剤形(錠剤・注射剤等)と処方を設計する
  • 安定性試験を実施し、保存条件と有効期限を設定する
  • CDMOと連携してラボスケールから量産スケールへ移行する
  • 品質規格・試験方法をまとめ、承認申請資料に反映する

面接で評価される経験

  • 製剤処方設計からスケールアップまでの一気通貫の経験
  • GMP環境での品質保証・品質管理との連携経験

向いている人

実験室の再現性と工場の再現性は別物だと理解し、地道な検証を厭わない人。

次の一歩 薬事へCRO/CDMO事業開発へ研究マネージャーへ
CRA(治験モニター)のキャラクターイラスト

CLINICAL RESEARCH ASSOCIATECRA(治験モニター)

450–850万円 目安

治験が計画通り、正しく、安全に進んでいるかを医療機関に出向いて確認する役。データの正しさより先に、患者の安全と手続きの正当性を背負う立場だ。日常は病院訪問とモニタリング報告書の作成、治験責任医師との調整の連続。

入り方
未経験からでも入れる数少ない専門職。看護師・臨床検査技師等の医療系資格者、MRからの転身が典型ルート。GCPの理解が最初の壁。
市場感
面接で必ず聞かれるのは「治験実施計画書からの逸脱にどう対応したか」。マニュアル通りの説明より、現場判断の経験があるかで評価が割れる。
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仕事の中身

  • 医療機関を訪問し、症例報告書(CRF)と原資料を照合するモニタリングを行う
  • 治験責任医師・治験コーディネーター(CRC)と進捗・逸脱事項を調整する
  • GCP(医薬品の臨床試験の実施基準)に沿って手順の遵守を確認する
  • 本社向けのモニタリング報告書を作成し、リスクを共有する

面接で評価される経験

  • 医療機関との折衝経験(医療系資格・MR経験等)
  • 治験実施計画書からの逸脱対応の実務経験

向いている人

細かい手続きの逸脱も見逃さない几帳面さと、医師相手でも臆さない対人力がある人。

次の一歩 メディカルアフェアーズへ薬事へCRO/CDMO事業開発へ
メディカルアフェアーズのキャラクターイラスト

MEDICAL AFFAIRS SPECIALISTメディカルアフェアーズ

600–1,100万円 目安

承認された薬を、医療現場に正しく届ける役。営業と違い成約は追わず、医師に科学的なエビデンスを説明し、市販後の安全性情報を集めて開発側に返す。日常は医師との面談準備と論文・エビデンスの整理だ。

入り方
薬剤師・修士以上の科学的バックグラウンドが必須条件になりやすい。MR・CRAからのキャリアチェンジも一般的なルート。
市場感
面接で見られるのは営業トークではなくエビデンスで話せるか。MR経験者が最も詰まりやすいのがこの切り替えだ。
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仕事の中身

  • 医師・KOL(key opinion leader)と面談し、最新のエビデンスを提供する
  • 市販後の安全性情報・有害事象を収集し開発部門にフィードバックする
  • 学会・論文情報を整理し社内外への情報提供資料を作る
  • 治験デザインについて開発部門に臨床現場の視点で助言する

面接で評価される経験

  • 医師相手に科学的な説明を独力で行った経験
  • 論文の批判的吟味(critical appraisal)ができる読解力

向いている人

営業成績ではなく、正確な情報を届けることに価値を感じられる人。

次の一歩 研究マネージャーへ薬事へ
薬事のキャラクターイラスト

REGULATORY AFFAIRS SPECIALIST薬事

500–1,000万円 目安

薬を世に出すための「承認」という関門を通す役。研究の成果物を、規制当局が読める言語と論理に翻訳する立場だ。日常は申請資料の作成とPMDA(医薬品医療機器総合機構)との折衝、社内各部門からのデータ集約。

入り方
薬学部出身が中心だが、臨床開発・品質保証からの異動組も多い。英語での照会事項対応ができるかが評価の分岐点になる。
市場感
面接で問われるのはPMDA照会事項への対応経験。申請書を「書いた」経験より、当局とのやり取りを「まとめ切った」経験が評価される。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • 非臨床・臨床データを集約し、承認申請資料(CTD)を作成する
  • PMDAとの対面助言・照会事項対応の窓口を担う
  • 海外規制当局(FDA・EMA等)向けの申請要件を調整する
  • 承認後の一部変更申請・添付文書改訂を管理する

面接で評価される経験

  • PMDA照会事項対応・対面助言の実務経験
  • 英語での規制当局対応や海外申請の経験

向いている人

膨大な資料を漏れなく整合させる緻密さと、当局相手の交渉に折れない粘りがある人。

次の一歩 研究マネージャーへメディカルアフェアーズへ
バイオインフォマティクスのキャラクターイラスト

BIOINFORMATICIANバイオインフォマティクス

550–1,100万円 目安

遺伝子・タンパク質の大量データから、創薬の手がかりを見つける役。ウェットの実験結果を待たずに、計算で候補を絞り込む立場だ。日常はプログラムを書いてデータを解析し、ウェット研究者に「次に何を確かめるべきか」を返す。

入り方
情報系・生命科学系どちらの出身でも入れる数少ない領域。Pythonやパイプライン構築の実務経験が、学位以上に評価される。
市場感
面接で必ず聞かれるのは「解析結果がウェット実験でどう検証されたか」。解析の精度より、実験にどう接続したかで評価が割れる。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • 次世代シークエンサー(NGS)データを解析し標的候補を絞り込む
  • AI創薬モデルを用いて化合物のスクリーニングを支援する
  • 解析パイプラインをPython/Rで構築・自動化する
  • ウェット研究者と結果をすり合わせ、次の実験計画に反映する

面接で評価される経験

  • NGS解析やAI創薬モデルの実装経験
  • 解析結果を実験検証まで接続した実績

向いている人

計算結果を「答え」ではなく「仮説」として扱い、実験側と対話できる人。

次の一歩 研究マネージャーへCRO/CDMO事業開発へ
CRO/CDMO事業開発・PMのキャラクターイラスト

CRO/CDMO BUSINESS DEVELOPMENT & PMCRO/CDMO事業開発・PM

550–1,050万円 目安

製薬会社から「委託される側」で、案件を取り、納期と品質を守り切る役。技術者ではなく、複数プロジェクトの進行と顧客対応を背負う立場だ。日常は顧客との進捗会議、社内ラボへの依頼繰り、見積もり調整の連続。

入り方
研究職経験者がキャリアチェンジで入るケースが多い。技術理解に加えて、顧客折衝と社内の要員調整をこなす力が問われる。
市場感
面接で見られるのは複数案件を並行して回した経験。一つの実験を極めた人より、納期と品質のバランスを取った経験が評価される。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • 製薬・バイオベンチャーからの受託案件を提案・見積もりする
  • 社内ラボの稼働状況を見ながら複数プロジェクトの進行を管理する
  • 顧客との定例会議で進捗・課題を報告し、追加案件につなげる
  • 納期遅延やトラブル発生時に顧客への説明と社内調整を行う

面接で評価される経験

  • 複数プロジェクトを並行運用したプロジェクトマネジメント経験
  • 技術背景を持った上での顧客折衝・提案経験

向いている人

技術の細部よりも、案件全体を前に進めることに面白みを感じる人。

次の一歩 研究マネージャーへメディカルアフェアーズへ
研究マネージャー/プロジェクトリーダーのキャラクターイラスト

RESEARCH PROJECT LEADER研究マネージャー/プロジェクトリーダー

700–1,300万円 目安

予算を握り、複数の専門職をまとめ、開発の可否を経営に説明する役。技術の正しさより先に、プロジェクトを止めるか続けるかを決め切る時間が長い立場だ。日常は各機能のリーダーとの進捗すり合わせと、経営層への報告資料作りの連続。

入り方
化学・薬理・薬事等いずれかの専門職で実績を積んだ人が、マネジメントに転じるルートが主流。40代での転職相談が特に多い領域。
市場感
面接で問われるのは「開発中止の判断を自分の言葉で下したことがあるか」。順調に進んだ話より、止めた・止めなかった判断の理由が評価される。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • 化学・薬理・薬事など複数機能のリーダーと進捗をすり合わせる
  • 開発予算とスケジュールを管理し、経営層への報告資料を作る
  • 開発継続・中止の判断材料を整理し、意思決定会議で提案する
  • チームメンバーの専門性の伸ばし方・配置を考える

面接で評価される経験

  • 複数の専門機能をまたいだプロジェクト運営経験
  • 開発中止を含む意思決定に関わった経験

向いている人

自分の専門を手放してでも、プロジェクト全体の成否に責任を持てる人。

次の一歩 経営企画・事業開発へ独立・コンサルへ

この地図の登り方 — 王道は3本

臨床・薬事で薬を世に出す道CRA(治験モニター)メディカルアフェアーズ薬事

どの道も、いきなり研究マネージャーやCRO事業開発から入れるわけではない。焦って一段飛ばすと、面接で必ず聞かれる「その手前で何を判断してきたか」に詰まる。自分がどの階段の何段目にいるか分からなければ、適性診断で確かめてみてください。

地図の上の、あなたの現在地を確かめる。

約4分の適性診断で、あなたが現実的に狙える進路タイプと、次に読むべき記事が分かります。

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